銀行株が上がったのに、なぜ長期金利は下がったのか――8月26日の東京市場

「銀行株高でも長期金利は低下」と大きく書かれ、日銀を思わせる建物を背景に、2年債と10年債の動きの違いを2本のラインで表現したThe Kyo Timesのサムネイル。

26日の東京市場では、日経平均株価が405円上昇し、銀行・証券・保険もそろって買われました。ところが国債市場を見ると、2年債利回りは上昇する一方、長期金利の指標となる10年債利回りは低下しています。

今日のポイントは、「金融株が上がった=金利が上がった」と一つの数字で捉えないことです。原油安が株式市場と長期金利を支える一方、短い年限では日銀の追加利上げを意識した動きと整合的な金利上昇もみられました。

日経平均405円高、それでも積極的な上昇相場ではなかった

26日の日経平均は前日比405円73銭高(+0.62%)の6万6262円16銭、TOPIXは17.35ポイント高(+0.42%)の4111.02で終了しました。

朝方は日経平均が下落しましたが、その後切り返して一時585円高まで上昇。ただ、東証プライム市場の売買代金は6兆7057億円にとどまり、日本時間27日早朝に控える米NVIDIAの決算を前に様子見姿勢も強い一日でした。

26日の東京市場の終値と売買代金(Reuters)

株価を支えた材料の一つが、原油価格の下落です。

イランとオマーンがホルムズ海峡の航行を巡る協議を再開したことで、中東情勢がさらに悪化するとの警戒が後退。26日のブレント原油先物は日本時間の日中に2%超下落しました。原油高によるインフレや企業コストへの懸念がいったん和らぎ、前日の米株高とともに日本株の支援材料になったとみられます。

ホルムズ海峡を巡る協議と原油市場(Reuters)

金融株は高い。でも「金利上昇相場」ではない

業種別では証券・商品先物取引業が+2.05%、保険業が+1.68%、銀行業が+1.41%。一方、石油・石炭製品は▲1.84%、海運業は▲2.37%でした。

原油安と中東リスク後退を意識した業種の選別と整合する一方、金融株にも買いが集まった形です。

ただし、金融3業種をすべて「金利上昇」で説明するのは正確ではありません。銀行は貸出金利と預金金利の差などが収益に影響しますが、保険会社には運用資産の構成、証券会社には株式市場の活況や投資銀行業務など、別の要因もあります。

実際、この日の保険株高には、前日に株式分割などを発表した東京海上ホールディングスといった個別材料も含まれています。

2年債は上昇、10年債は低下した

今日、より重要だったのは国債市場の「中身」です。

15時時点では、新発2年債利回りが1.685%と前日比0.010%ポイント、つまり1bp上昇。一方、10年債は2.885%と0.005%ポイント低下し、20年債も3.755%と0.010%ポイント低下しました。

短い年限の金利は、今後の政策金利への期待を比較的反映しやすい一方、10年を超える金利には将来の政策金利だけでなく、成長率やインフレ期待、国債の需給など、より多くの要因が影響します。

26日は原油安が長い年限の金利を押し下げる材料として意識された一方、短い側の金利上昇は、日銀の追加利上げ観測と方向としては一致しています。

ただし、ここは因果関係を断定できません。「原油安が10年債を下げ、利上げ観測が2年債を上げた」と一対一で説明するより、短期と長期で異なる材料が意識されていた可能性があると見るほうが適切でしょう。

その背景として、日銀が朝8時50分に公表した7月の企業向けサービス価格指数は前年同月比3.6%上昇し、6月の3.4%から伸びが拡大しました。サービス価格へのコスト転嫁が続いていることは、日銀が物価の持続性を考えるうえで無視できない材料です。

日本銀行「企業向けサービス価格指数(2026年7月速報)」

さらに日銀は26日、植田和男総裁が27〜29日のジャクソンホール会議への出席を見送り、田村直樹審議委員が代理出席すると明らかにしました。

ただ、このニュースだけを金融株高の原因とするのも避けるべきです。金融株は前場を通じて強く、今日の値動きには複数の要因が重なっていたと考えるのが自然です。

植田総裁のジャクソンホール欠席について(Reuters)

朝刊で見た「内訳を見る」が、そのまま今日の市場にも使えた

今朝のThe Kyo Timesでは、米消費者信頼感指数について、総合指数だけではなく「現況」と「期待」の内訳を見る重要性を取り上げました。

今日の日本市場にも同じ読み方が使えます。

「日経平均405円高」だけを見ると株高の日。「長期金利2.885%へ低下」だけを見ると金利低下の日です。しかし年限や業種まで分けると、金融株が強い一方で2年債と10年債は逆方向に動いていました。

夕方になって分かったのは、今日の市場には一つの方向だけでは説明できない動きが同時に存在していたということです。

今夜はPCE、その後NVIDIA。明日は日銀副総裁

まず今夜、日本時間21時30分に米国の7月個人所得・個人消費支出とPCE価格指数、4〜6月期GDP改定値が公表されます。PCE価格指数は米金融政策を見るうえで重要な物価指標で、結果次第では米金利やドル円を通じて、27日の日本市場にも影響します。

米商務省BEAの公表予定

その後、日本時間27日午前5時20分ごろにはNVIDIAが2027年1月期第2四半期決算を発表する予定です。東京市場でも半導体関連株の影響が大きいため、売上高だけでなく次四半期の見通しやAI向け需要に対する会社側の説明が注目されます。

NVIDIAの決算発表予定

そして27日午前10時30分には、日銀の氷見野良三副総裁が埼玉県金融経済懇談会で挨拶します。

日本銀行「今後の講演・挨拶等の予定」

見るべき順番はシンプルです。米PCEで米金利とドル円がどう動くか。NVIDIA決算を受けて半導体株がどう反応するか。そして氷見野副総裁の発言後、日本の2年・10年金利のどちらが動くかです。

今日の教訓は、「金利が上がった、下がった」で止めないこと。**どの年限が、何を受けて動いたのか。**そこまで見ると、銀行株高と長期金利低下が同じ日に起きても、必ずしも矛盾ではないことが見えてきます。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。

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