8月20日の東京株式市場では、日経平均株価が前日比890円37銭(1.36%)高の6万6,216円79銭となり、3営業日ぶりに反発しました。TOPIXも1.18%高となり、東証33業種のうち29業種が上昇しています。
今日の中心材料は、前夜の米国で長期金利が低下し、その流れが日本の金利や株式市場にも波及したことです。ただし、前日まで売られていたAI・半導体株がそろって戻ったわけではありません。
今日を見るうえで重要なのは「890円上がった」ことより、何が戻り、何がまだ戻っていないのかです。
金利低下で29業種が上昇──2日間の下げの約23%を戻す
日経平均は、直前の2営業日で約3,893円下落していました。今日の890円高は、その約23%を取り戻した計算です。
株式市場を支えた材料の一つが、米国の長期金利低下でした。
米財務省は19日、10〜20年と20〜30年の長期国債について、流動性支援を目的とした買い戻しの1回あたり上限を20億ドルから少なくとも40億ドルへ引き上げると発表しました。9月9日から11月4日まで実施します。
これを受け、米長期金利は低下。30年債利回りは一時約10bp、つまり0.10%ポイント下がりました。
日本でも新発10年国債利回りは15時13分時点で2.845%と、前日から0.045%ポイント低下。ドル円も16時05分時点で1ドル=158円39〜40銭と、前日より円高・ドル安でした。
もっとも、日本の金利低下を米国材料だけで説明するのは適切ではありません。
同日は国内でも20年国債入札が行われ、価格競争入札では応募額2兆1,190億円に対し、募入決定額は5,321億円でした。国内の国債需給も同時に確認される一日でした。
それでもAI・半導体は「全面復活」ではない
今日の反発を特徴づけたのは、前日の下げ方と今日の戻り方が対称ではなかったことです。
日経平均のセクター別寄与度を見ると、技術セクターは389円86銭押し上げ、上昇幅全体の約44%を占めました。
一方、前日に日経平均が2,134円下落した際には、技術セクターだけで約1,535円を押し下げていました。
また、AI・半導体関連を多く含む電気機器の上昇率は0.68%。33業種中24位にとどまっています。
つまり、「金利が下がったから前日に売られたハイテク株がそのまま買い戻された」という単純な反発ではありませんでした。半導体関連の戻りには銘柄ごとの差が残っています。
一方、韓国ではKOSPIが大幅高となり、半導体株を中心に買いが広がりました。東京株の上昇には、米金利低下だけでなく、こうしたアジア市場の反発も支援材料になったとみるのが自然です。
円高でも自動車は大幅高、銀行は逆に下落
業種別で最も上昇したのは輸送用機器で、3.95%高でした。
一見すると不思議です。ドル円は円高方向へ動いており、一般には輸出企業の業績には逆風とみられやすいからです。
ただし、今日の為替は「円全面高」というよりドル安の色合いが強い動きでした。円は対ドルでは上昇した一方、対ユーロなどでは下落しています。
さらに米国とカナダの通商交渉では、カナダ製自動車への米関税を25%から15%へ引き下げる案が浮上しているとReutersが報じています。まだ合意前の段階ですが、北米の自動車産業を巡る関税負担が緩和される可能性も意識されました。
対照的だったのが銀行株です。銀行業は0.53%安となりました。
銀行は一般に、金利が上がると貸出金利と調達金利の差である「利ざや」の改善期待が高まりやすいため、今日のような長期金利低下は逆風になりやすい。
同じ金利低下が、グロース株には追い風、銀行株には重しとなった。
これが、今日の相場を理解する一つのポイントです。
朝から変わったのは「自動車」と「反発の中身」
今朝の当欄では、米財務省の国債買い戻し増額による長期金利低下に注目していました。
実際、金利低下は東京市場でも株価の支援材料になりました。ただ、夕方になって分かったのは、反発がAI・半導体だけに集中せず、29業種へ広がったことです。
朝の時点では読み切れなかったのが自動車株の強さでした。
一方、午前8時50分に発表された7月の貿易収支は6,345億円の赤字となりましたが、今日の株式市場の中心材料になったとは言いにくい一日でした。
朝に分かっていた「金利が下がる」という材料より、夕方には「その金利低下で誰が買われ、誰が買われなかったのか」のほうが重要になった。
これが今日、朝から変わったポイントです。
今夜は米金利、明朝は日本のCPIを確認
今夜は日本時間21時30分に、米国の新規失業保険申請件数とフィラデルフィア連銀製造業景況指数が発表される予定です。
今日の日本株を支えた材料の一つが金利低下だっただけに、米経済指標を受けて長期金利が再び上昇するのか、それとも低下した水準を維持するのかが最初の確認点です。
そして8月21日午前8時30分には、**7月の全国消費者物価指数(CPI)**が公表されます。
今回は2025年基準へ変更後、初めて公表される全国CPIです。
CPIが市場予想より強ければ、日本の金利上昇観測が再び意識され、今日強かったグロース株と弱かった銀行株の関係が変わる可能性があります。
反対に、金利上昇への警戒が弱まれば、今日の反発がどこまで広がるかが焦点になります。
重要なのはCPIそのものの数字だけではありません。
数字を受けて日本国債利回りがどう動き、その動きを株式市場がどう受け止めるのか。
明日はそこまで確認したいところです。
今日のまとめ
日経平均は890円高となりましたが、今日は「安心して買い戻された日」と断定するにはまだ早いでしょう。
金利の重しがいったん緩み、29業種へ買いが広がった一方、前日の下げを主導したAI・半導体の戻りにはばらつきが残りました。
反発局面では、上げ幅だけでなく「直前に最も売られたものが戻っているか」を見る。
8月20日の東京市場は、その見方がよく分かる一日でした。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
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