9月3日、日経平均4日続落でもTOPIXは反発 ── ファストリが193円押し下げ、円は156円台へ

「濃紺を基調に、日銀を想起させる建物と日本国旗を背景に配置したThe Kyo Timesのサムネイル。『日経平均4日続落でも 日本株は全面安ではない』『円は156円台へ』の見出しと、指数と市場実態のズレを示す抽象的なチャートを描いている。」

9月3日の東京市場は、日経平均株価が111円安となった一方、TOPIXは0.50%上昇しました。東証プライムでも値上がり銘柄が値下がり銘柄を上回っており、今日を単純な「日本株安」と捉えると実態を見誤ります。

一方、株以上に大きく動いたのが為替です。ドル円は前日のニューヨーク市場終値158円71銭から、20時時点で156円30〜34銭まで円高が進みました。

今日重要だったのは、日経平均という指数の弱さと日本株全体の強弱を分けて見ること、そして円相場では「日銀が利上げするか」から「どの程度、どのペースで利上げするか」へ市場の焦点が移ったことです。

日経平均は下落、しかし日本株全体はむしろ底堅かった

日経平均は前日比111円16銭安の6万4214円48銭と4営業日続落しました。朝方は前日の米国株高を受けて399円高で始まりましたが、その後は上値を失い、14時26分には6万3772円80銭まで下落。終値では小幅安まで戻しています。

対照的にTOPIXは20.44ポイント高の4102.04と反発しました。東証プライム市場では値上がり805銘柄に対し、値下がりは685銘柄。業種別でも33業種中20業種が上昇し、卸売業、電気・ガス業、海運業などが上位となりました。

つまり今日は、「日経平均が下がったから日本株全体も弱かった」という一日ではありません。

指数と市場内部の動きがずれていたことこそ、最初に押さえておきたいポイントです。

ファーストリテイリング1銘柄で、日経平均を約193円押し下げ

指数の違いを生んだ最大の要因がファーストリテイリングです。

同社が2日に発表した8月の国内ユニクロ既存店+Eコマース売上高は前年同月比1.3%減と、2カ月ぶりに前年を下回りました。低い気温や天候不順で夏物需要が伸びず、客単価は8.6%上昇した一方、客数は9.1%減少しています。

これを受け、ファーストリテイリング株は2400円安の6万8000円で終了。日経平均を約193円押し下げました。

日経平均全体の最終的な下落幅111円を、この1銘柄のマイナス寄与度だけで上回っています。アドバンテストも約63円、イビデンも約33円押し下げました。

ただし、これは「今日の日中の下落がすべてファーストリテイリングのせいだった」という意味ではありません。

14時ごろには、それまでプラス圏だった韓国KOSPIが失速し、キオクシアなど半導体関連株とともに日経平均もマイナス圏へ沈む場面がありました。

終値の指数差はファーストリテイリング、後場の値動きにはアジア株や半導体株も影響した、と分けて考えるのが適切です。

円は156円台へ──焦点は「利上げするか」から「何%上げるか」へ

今日、より大きな変化が起きたのは為替市場です。

ドル円は前日のニューヨーク市場終値158円71銭から下落し、20時時点では156円30〜34銭。約2円40銭、率にしておよそ1.5%の円高となっています。

背景として意識されたのが、日銀の追加利上げ観測です。

高田創審議委員は2日の札幌市での講演で、海外発のインフレ圧力などを踏まえた金融政策運営の必要性を示しました。市場では発言をタカ派的と受け止める見方が広がり、9月17〜18日の金融政策決定会合での利上げを織り込む動きが強まりました。

そして、夕方になってもう一段重要な変化がありました。

16時40分ごろ、「日銀は9月会合で0.25%ポイントの利上げを行う公算で、その後のペースは柔軟にする」との関係者情報が伝わると、一部で0.50%ポイントの大幅利上げまで警戒されていた反動から、ドル円はいったん156円36銭から157円37銭付近まで反発しました。

ところが、その後は再び円買いが優勢となり、20時には156円台前半まで戻っています。

ここが夕方になって初めて分かったポイントです。

市場の論点は、もはや単純な「9月に利上げするか」だけではありません。

0.25%ポイントなのか、それ以上なのか。そして9月の次に、どの程度の間隔で利上げを続けるのか。

日銀の引き締めペースそのものが円相場を左右する段階へ入っています。

長期金利は2.965%へ低下──利上げ観測が強まっても金利は上がらなかった

円高が進む一方、国内債券市場では新発10年国債利回りが前日比0.045%ポイント、つまり4.5bp低い2.965%まで低下しました。

一見すると、「日銀の利上げ観測が強まったのに、なぜ金利が下がるのか」と感じるかもしれません。

しかし、政策金利への期待と長期金利は常に同じ方向へ動くわけではありません。

今日は前日の米国債市場で金利が低下した流れに加え、円高によって輸入インフレへの警戒がやや和らいだことも国債買いを支えました。

さらに、財務省が実施した30年国債入札も市場ではおおむね無難に消化されたと受け止められ、超長期債への警戒がいったん後退しました。平均落札利回りは4.079%、最高落札利回りは4.100%でした。

前日まで「日本の金利上昇」が市場の中心テーマでしたが、今日はそれがいったん一服しています。

円は日銀の利上げ期待で買われながら、長期国債も買われた。

株・為替・債券を一つの単純な物語で説明できないことも、今日の特徴でした。

朝から変わったのは「米国中心」から「日本の金融政策中心」へ

今朝の本紙朝刊では、8月ADP雇用統計の弱さやFRBベージュブックを中心に、米国の景気と金利の行方を整理しました。

しかし、夕方までの東京市場を見ると、それ以上に存在感を増したのは日本側の材料でした。

日経平均ではファーストリテイリングという指数固有の要因が大きく働き、為替では日銀の利上げペースを巡る思惑から円高が加速。さらに夕方の関係者報道によって、「0.25%ポイント利上げ」という具体的な幅まで市場の判断材料になりました。

朝にはまだ分からなかった今日の結論は、米国の利上げ観測だけでなく、日銀がどれだけ速く政策正常化を進めるのかが、再び日本市場の主役になったということです。

今夜23時のISM、明日21時30分の雇用統計をどう見るか

今夜から次の営業日にかけては、再び米国側から答え合わせが始まります。

確定している予定として、今夜23時には米8月ISM非製造業景況指数が発表されます。

さらに9月4日21時30分には、8月の米雇用統計が発表される予定です。

市場が見るべきなのは、単に数字が「良いか悪いか」ではありません。

ISMや雇用統計が強ければ、9月FOMCでの米追加利上げ観測が強まり、今日の円高を抑える方向に働く可能性があります。反対に弱ければ、米金利低下やドル売りが意識される可能性があります。

ただし今回は、ドル円のもう片側に日銀があります。

これからのドル円は「米国が利上げするか」だけではなく、「FRBと日銀のどちらが市場予想以上にタカ派になるか」を比べる相場になりつつあります。

今日の日経平均111円安だけを見ていれば、この変化は見えません。

指数の中身、円、金利を分けて確認すること。

それが9月3日の市場から得られる、最も重要な判断軸です。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。

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