日経平均株価は前日比396円35銭安(0.60%安)の6万5481円27銭。一方、TOPIX(東証株価指数)は70.87ポイント安(1.72%安)の4041.13と、下落率では日経平均の約3倍になりました。日経平均も取引時間中には一時1200円近く下げています。
今日を理解するポイントは、配当権利落ちという「技術的な下げ」と、それだけでは説明できない市場全体の弱さを分けて考えることです。
日経平均396円安の大半は「配当落ち」で説明できる
9月29日は、3月期決算企業を中心とする9月中間配当の権利落ち日でした。
ロイターによると、市場では配当落ちによる日経平均への下押し効果が約380円と試算されていました。つまり、終値の396円安だけを比べれば、その大半は配当を受け取る権利がなくなったことに伴う機械的な株価調整で説明できる計算です。
ロイター「午前の日経平均は続落、配当落ち分の下げで」
ここは重要です。
「日経平均が396円下がった=企業価値や景気への評価が396円分悪化した」という意味ではありません。権利落ち日に指数を見るときは、通常の前日比だけでは相場の実態を読み違えることがあります。
それでも「配当落ちだけ」ではなかった
一方で、今日の弱さをすべて配当落ちで片付けることもできません。
少なくとも前場では東証33業種すべてが下落し、11時時点では東証プライム市場の値下がり銘柄が9割を超えました。石油・石炭製品、証券・商品先物取引業、鉱業などを中心に、売りは幅広い業種へ広がっています。
背景として意識されたのが、前日の米国市場から続く原油高と高い米長期金利です。
中東情勢を巡る供給懸念から原油価格は高止まりし、29日17時44分ごろの11月限ブレント原油先物は1バレル=105.47ドル。米10年国債利回りも2007年以来の高水準圏で推移しており、高いエネルギー価格がインフレを長引かせ、金利を高止まりさせるとの警戒が株式市場の重しになっています。
つまり今日の日経平均は、約380円の配当落ちという技術要因に、原油・金利への警戒による実際の売りが重なったと見る方が実態に近そうです。
なぜTOPIXの方が大きく下げたのか
もう一つの特徴が、日経平均とTOPIXの大きな差です。
TOPIXは東証プライム市場の幅広い銘柄を時価総額ベースで反映します。一方、日経平均は225銘柄の株価平均型の指数で、値がさ株の影響を受けやすいという特徴があります。
前場では、東京エレクトロン、レーザーテック、ディスコ、SCREENホールディングスなど半導体製造装置株の一角が上昇。東京エレクトロンだけで日経平均を約103円押し上げる場面もありました。
市場全体では幅広く売られていても、一部の値がさ株が強ければ日経平均の下落率は小さく見えます。
したがって今日の「日経平均0.60%安、TOPIX1.72%安」という差は、配当落ちだけでなく、幅広い銘柄が下落する一方、日経平均への影響が大きい銘柄の一角が指数を支えたことも一因と考えるのが自然です。
朝から変わったのは「国内固有の要因」が見えたこと
今朝の記事では、前日の米国市場で意識されたAI・半導体株への警戒、原油高、米長期金利上昇を中心に整理しました。
実際の東京市場でも、海外市場の弱い流れは引き継がれました。
ただ、夕方になって分かったのは、今日の東京市場を理解するには海外要因だけでは足りなかったことです。9月末の配当権利落ちという国内固有の要因が日経平均を約380円押し下げ、そのうえで市場全体には実際の売りも広がりました。
朝に見えていた「海外からの逆風」に、夕方には**「配当落ち」と「指数の構造」という東京市場特有の事情が加わった**。ここが今日の朝刊からの最大の変化です。
株安でも、日本の長期金利は上昇しなかった
市場間の動きが完全に同じ方向だったわけではありません。
東京市場終了時点の新発10年国債利回りは3.085%と前日比横ばい。40年国債入札が強めの結果となり、債券には買い戻しも入りました。
一方、為替では19時04分までにドル円が1ドル=157円72銭まで上昇し、時間外の米10年国債利回りも5.24%台前半へ上昇しています。
つまり、「日本株安=日本金利上昇」という単純な相場ではありません。国内債券市場は落ち着いた一方、海外では原油高と高い米金利が引き続き意識されている、という温度差があります。
今夜から見るべき3つのポイント
確定している予定として、今夜23時には米8月JOLTS求人件数と米9月消費者信頼感指数が発表されます。JOLTSは米労働統計局、消費者信頼感指数はConference Boardが同時刻に公表予定です。
30日21時30分には米8月PCE(個人消費支出)物価指数が発表されます。FRBの金融政策を考えるうえで重要なインフレ指標です。
国内では10月1日8時50分に日銀短観、10月2日21時30分には米9月雇用統計が予定されています。なお、米雇用統計は10月1日ではなく**10月2日(金)**です。
市場で確認したいのは、数字そのもの以上に米長期金利と原油がどう反応するかです。
19時前の米株先物は、ダウ先物が0.07%安、S&P500先物が0.04%安、ナスダック100先物が0.06%高と、ほぼ横ばいでした。
もし米指標を受けて長期金利や原油価格が再び大きく上昇すれば、30日の日本株でも幅広い銘柄への重しが意識される可能性があります。反対に金利・原油が落ち着き、米ハイテク株が持ち直すなら、今日の日経平均を支えた半導体株の一角がどう反応するかが次の確認点になります。
今日のまとめ
9月29日の東京市場は、「日経平均396円安」という数字だけでは実態をつかみにくい一日でした。
約380円と試算された配当落ちを考えれば、日経平均の終値だけから過度に悲観する必要はありません。一方で、TOPIXは1.72%下落し、前場には東証33業種すべてが値下がりしました。
今日のポイントは、技術的な配当落ちと、市場全体に広がった実際の売りを分けて見ることです。
明日に向けては、日経平均の数字だけではなく、米長期金利、原油、ドル円、そしてTOPIXを含む市場の広がりを合わせて確認することが、相場の変化を見極める手掛かりになります。
本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。
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