日経平均506円高でも「全面高」ではない──GDP下振れ、長期金利2.93%、TOPIX反落の8月17日

「日経平均506円高でも全面高ではない」をテーマにしたThe Kyo Timesのサムネイル。ネイビー基調のデザインに、東京市場を象徴する都市景観と金融市場のチャート表現を配置し、「半導体主導の『指数高』を読む」と添えている。

8月17日の東京市場では、日経平均株価が506円高となり、5営業日続けて上昇しました。ところがTOPIXは反落し、日経平均225銘柄でも値下がり銘柄の方が多くなっています。

さらに、朝発表されたGDPは市場予想を下回ったにもかかわらず、長期金利は一時2.93%まで上昇。為替では逆に円が小幅に買われ、ドル円は158円台後半まで下落しました。

今日のポイントは、**「日本市場全体が同じ方向に動いたわけではない」**ことです。株・金利・為替が、それぞれ異なる材料を織り込んだ一日でした。

506円高でも、上がった銘柄は少数だった

日経平均株価は前週末比506円45銭(0.74%)高の6万9220円25銭で取引を終了。一方、TOPIXは13.09ポイント(0.31%)安の4184.11となりました。

ここで注目したいのが、指数の「中身」です。

日経平均225銘柄では、値上がり77銘柄に対して値下がりは146銘柄。つまり、日経平均が500円以上上昇していても、多くの銘柄が上がったわけではありません。アドバンテストやキオクシアHDなど、指数への影響が大きい半導体関連株の上昇が日経平均を強く押し上げました。

株価の高い銘柄の影響を受けやすい日経平均と、時価総額を基準に市場全体の動きを反映しやすいTOPIX。その方向が分かれたことは、今日の相場が「全面高」ではなく、半導体・AI関連株に上昇が集中した相場だったことを示しています。

GDPは弱かった。それでも金利は2.93%へ

朝8時50分に発表された4〜6月期の実質GDPは、前期比0.3%増、年率換算1.1%増でした。

プラス成長は維持したものの、Reuters調査の市場予想2.0%増を下回りました。個人消費は前期比0.02%減、設備投資も1.2%減。対して純輸出は成長率を0.5ポイント押し上げており、内需の弱さが目立つ内容です。

内閣府のGDP速報

普通に考えれば、景気が予想より弱ければ「日銀は利上げを急ぎにくくなる」との見方が強まり、金利低下につながっても不思議ではありません。

しかし17日の債券市場では、新発10年国債利回りが一時2.93%近辺まで上昇し、1996年以来の高水準となりました。17時台に確認できるデータでも2.92%台と、高い水準を維持しています。

背景には、GDPだけではなく、日銀による早期の追加利上げ観測や、日本の財政に対する警戒などがあります。

つまり今日の債券市場は、「GDPが少し弱かったから利上げ観測が後退した」という反応にはならなかったわけです。

円も「弱いGDP=円安」とはならなかった

為替市場でも同じことが起きています。

朝のGDPが市場予想を下回ったにもかかわらず、円は対ドルでむしろ小幅に上昇しました。ロンドン時間に入るとドル安が進み、16時38分にはドル円が一時158円86銭まで下落。17時台には158円93銭前後となっています。

ここでは日本側だけでなく、米国側を見る必要があります。

前週末に発表された米小売売上高などを受け、米国の追加利上げ観測が後退し、ドルが売られやすくなっています。弱い日本のGDPよりも、米国側の金融政策観測が為替市場では強く意識されたとみられます。

今日の相場は、

日本株=半導体株への買い
日本金利=日銀の早期利上げ観測など
ドル円=米利上げ観測後退によるドル安

と、動いた理由を分けて考える方が理解しやすい一日でした。

朝から変わったのは「利上げ観測が崩れなかった」こと

今朝のThe Kyo Timesでは、日銀をめぐる論点が「9月に利上げするか」だけでなく、「その後どの程度のペースで利上げするのか」に移りつつあることを取り上げました。

朝の時点ではGDPが、その見方を変える可能性のある材料の一つでした。

結果は市場予想を下回りました。それでも長期金利は約30年ぶりの高水準まで上昇し、円も対ドルで下落しませんでした。

夕方になって分かったのは、少なくとも今日の市場では、GDPの下振れだけでは早期利上げ観測を大きく後退させるには至らなかったということです。

朝刊の「日銀は利上げをどのペースで進めるのか」という問いは、むしろ次の市場テーマとして残りました。

今夜から確認したい3つのこと

確定している予定

今夜21時30分には8月のニューヨーク連銀製造業景気指数、23時には8月のNAHB住宅市場指数が発表される予定です。NY連銀製造業景気指数は市場予想10.2、前回15.6となっています。

日本市場にとっては、米景気指標が米国の利上げ観測や米金利、そしてドル円をどう動かすかがポイントです。

市場の注目点

国内では、10年国債利回りが一時2.93%まで上昇したあとも、2.9%台で推移するかを確認したいところです。

また株式市場では、半導体株の上昇が続くのか、それともTOPIXが示したように市場全体へ弱さが広がるのかが重要になります。

条件付きで考えるなら

もし米経済指標がさらに弱く、米利上げ観測が後退すれば、ドル安・円高が意識されやすくなる可能性があります。

反対に、日本の長期金利上昇が続きながら半導体株の勢いが鈍れば、「日経平均だけが強い」という今日の構図が維持できるかが問われることになります。

今日のまとめ

8月17日は、日経平均が506円上昇しました。しかし、値下がり銘柄は値上がり銘柄を大きく上回り、TOPIXも反落しています。

同時に、GDPは市場予想を下回った一方、長期金利は一時2.93%まで上昇。ドル円も158円台後半へ円高方向に動きました。

指数が上がったから市場全体が強い。GDPが弱かったから金利が下がる。日本のGDPが弱かったから円が売られる。

今日は、そうした単純な公式が当てはまらない一日でした。

明日以降は、「日経平均が上がるか」だけではなく、上昇が市場全体へ広がるのか、金利上昇がどこまで続くのか、そして日米の金融政策観測がドル円をどう動かすのかをセットで見ることが重要になりそうです。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。

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