米CPI鈍化でFed利上げ警戒が後退──今日の日本株で見る「日米金融政策観測の差」【8月13日朝】

おすすめはこれです。 **代替テキスト:** 米CPI鈍化と日米金融政策の差をテーマに、米国旗と日の丸を配したThe Kyo Timesの経済記事サムネイル

12日夜に発表された米7月消費者物価指数(CPI)は、前年同月比3.4%、食品とエネルギーを除くコアCPIは2.5%でした。
いずれも6月の3.5%、2.6%から鈍化し、市場が警戒していたインフレの大幅な上振れは回避されました。米労働統計局(BLS)によると、前月比では総合が0.1%上昇、コアが0.2%上昇です。

これを受け、9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが行われる確率は38%程度まで低下しました。つまり今朝までに起きた最大の変化は、米国の9月利上げ警戒が一段と後退したことです。

一方、日本では日銀の追加利上げ観測が残っています。

米国は据え置き方向、日本は利上げ方向

今日の東京市場では、この金融政策観測の違いが、円、銀行株、半導体株にどう表れるのかが最大の注目点です。

CPIは落ち着いた。ただし「インフレ終了」ではない

今回のCPIは、市場予想から大きく外れませんでした。

7月のエネルギー価格は前月比1.5%下落し、ガソリン価格も2.9%下落。これが総合CPIを抑える一因となりました。一方、エネルギー価格は前年同月比では14.7%高く、物価上昇圧力が消えたわけではありません。

さらに、直近では中東情勢を背景に原油価格が再び上昇しています。今回発表されたのはあくまで「7月」のCPIなので、足元の原油高が8月以降の物価にどう波及するかは別に考える必要があります。

したがって今回の数字は、

「米インフレ問題が終わった」ではなく、「9月に急いで利上げする必要性がやや薄れた」

と捉える方が適切です。

日本では逆に、9月の日銀利上げが意識されている

日本側では、金融政策を巡る方向感が米国とは異なります。

日銀が10日に公表した7月会合の「主な意見」では、複数の政策委員が物価上振れリスクへの警戒を強め、利上げペースを速める可能性に言及しました。市場では、早ければ9月にも追加利上げが行われるとの見方が強まっています。

次回の日銀金融政策決定会合は9月17・18日です。日本銀行の公表日程で確認できます。

こうした観測を背景に、日本の2年物国債利回りは1.6%台まで上昇しています。短期国債の利回りは金融政策の見通しを比較的反映しやすいため、ここには「日銀はまだ利上げ方向」という市場の見方が表れています。

昨日12日の東京市場では、日経平均が553円84銭(0.83%)高の6万7524円06銭、TOPIXが38.39ポイント(0.94%)高の4139.00で終了しました。日経平均では半導体などの技術株が大きく指数を押し上げる一方、TOPIXでは銀行株などにも買いが広がりました。

昨日の株高には複数の材料がありますが、少なくとも銀行株と短期金利には、日銀の追加利上げを意識した動きが確認できます。

米国の利上げ観測が後退しても、円高は限定的

ここから今日の焦点になります。

米国で利上げ観測が後退し、日本で利上げ観測が残るのであれば、理屈のうえでは日米の金利差縮小が意識され、円高方向に働きやすくなります。

実際、CPI発表後にはドルが弱含み、円は一時1ドル=158円台後半まで上昇しました。しかし、円高の動きは大きくありませんでした。CPI発表後の段階でも、9月FOMCでの利上げ確率はなお4割弱残っています。

為替は「次回会合で利上げするか」だけで決まるものではありません。実際の日米金利差、原油価格、中東情勢、投資家のポジションなど、複数の要因が重なります。

だから今日確認したいのは、単純に「円高になったか」ではありません。

米国の金利上昇圧力が弱まったとき、円がどこまで買われるのか。

ここが、今の円相場の強さ・弱さを見る一つの判断材料になります。

今日の東京市場は3つを見る

今日の東京市場では、指数そのものより、次の3つを確認したいところです。

① 午前8時50分の日銀・企業物価指数

日銀は市場開始前の8時50分に7月の企業物価指数を公表します。企業間で取引されるモノの価格動向を示す指標で、輸入物価や原材料価格の上昇がどこまで企業物価へ波及しているかを見る材料になります。

日銀の利上げ観測が強まるなか、物価上振れを意識させる内容になるかがポイントです。

② 銀行株と2年債

昨日強かった銀行株への買いが続くのか。その際は株価だけでなく、日本の2年債利回りも一緒に確認したいところです。

2年債利回りが高止まりし、銀行株も強ければ、日本市場では引き続き日銀の追加利上げが意識されていると考えやすくなります。

ただし、銀行株は長短金利差や貸出利ざや、保有債券の評価など複数の要因で動くため、「金利上昇=必ず銀行株高」と単純化しないことも重要です。

③ 半導体株とドル円

昨日の日経平均を大きく押し上げたのは半導体などの技術株でした。

米CPIが上振れしなかったことで米金利上昇への警戒がやや和らいだことは、グロース株にとって一つの支援材料になり得ます。

ただし、日本の半導体株には米ハイテク株の動きだけでなく、ドル円も影響します。

今日も半導体株と銀行株が同時に買われるのか、それとも物色の主役が変わるのか。昨日のTOPIX最高値更新がさらに広がりを持つかを見るうえでも重要です。

今夜はPPI──CPI後の見方が維持されるか

そして今夜、日本時間21時30分には米7月生産者物価指数(PPI)が発表されます。米労働統計局(BLS)の公表日程で確認できます。

見るべきポイントはシンプルです。

CPIで後退した9月の米利上げ観測が、PPIを通過しても維持されるか。

PPIが予想以上に強ければ、企業段階の価格上昇圧力が意識され、再び利上げ観測が強まる可能性があります。

逆に落ち着いた内容なら、「9月据え置き」という市場の見方を補強する材料になり得ます。

まとめ

昨夜の米CPIで、今日のマーケットを見る前提が一つ変わりました。

米7月CPIは前年比3.4%、コアは2.5%へ鈍化し、Fedの9月利上げ警戒は後退しました。

一方、日本では日銀の追加利上げ観測が残っています。

つまり今朝は、

米国では「据え置き」方向。
日本では「利上げ」方向。

この違いから東京市場が始まります。

今日見るべきなのは、日経平均が上がるか下がるかだけではありません。

米金利低下に円が反応するか。
日本の短期金利は高止まりするか。
銀行株と半導体株のどちらに資金が向かうか。

この3つをセットで確認すると、市場が日米の金融政策の違いをどこまで織り込み始めているのかが見えやすくなります。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。

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